「マナー」も時代とともに変わる面を持っていますが、いつまでも変わってほしくないマナーの中に、人に会ったら挨拶をするという“出会いのマナー”があります。
私は「第一印象五秒で決まる」という言葉をいつも接遇研修の中に取り入れています。先日、就職活動の為の 心構えを話してほしいとの依頼を受け、某大学に伺った時のことです。その時「第一印象五秒」をその学校の守 衛さんの態度の中に見たのです。穏やかな表情に、気持ちの良い挨拶言葉。その日はあいにく天候が悪く、少々 マイナス心理でしたが、一瞬にして“プラスの心理”となりました。きっと、こちらの大学は素晴しい運営をな さっているのだろう、という思いで校舎に入りました。 そうすると、すれ違う学生の大半が「こんにちは」と明るく挨拶をしてくれたのです。予想をしていなかっただ けに、一瞬とまどいながら、私も「こんにちは」と挨拶をしました。 実はこの日の講義の中に、“いかに挨拶が人と人とのコミュニケーションの潤滑油の役目を果たすものなのか ”という内容が入っていましたので、たった今、私が体験した挨拶の素晴しさを申し上げたら、学生のみなさん は明るくうなずかれました。
「挨拶」とは、自分の心を開いて相手にせまる、という意味を持っています。この挨拶を自分から先に実行し ている人はどれ位いるでしょうか。特にサービス業界に就かれている方々は如何でしょうか?表情豊かに、挨拶 をしていますでしょうか。
私は職業柄でしょうか、銀行や郵便局、ホテル、レストラン、行政の窓口など、どこへ行ってもそこで働いて いる方々の立ち居振る舞いが気になります。特に接客業で働いている方の表情が“無表情”の場合とても残念に 思われます。このことについて私が考えていることを少し延べたいと思います。
例えば、自動車免許証やパスポートに貼ってある“顔写真”を見て、自分はもっと素敵なはずだ、と思ったこ とがあると思います。正に証明写真はその人の無表情の時の写真です。“無表情”だということは、接客をする ときに証明書の顔写真と同じ表情で対応をしている事と同じです。これでは受付対応をされて、楽しい気分や明 るい雰囲気になるはずがありません。
「第一印象五秒」の中に自分の持ち味を十分に発揮する為のポイントは、相手に感動を与える出会いをする事 だと考えております。「感動」とは、相手の心に刺激を与えることです。人は何らかの刺激を受けると、そのこ とがより印象深く残ります。
「人と会ったら挨拶をする」、これは誰でも出来ますが、しかし、より印象深く、感動的な挨拶の出来る人は 少ないと思います。相手に感動を与えることの出来る人は“感性豊な人”なのです。そして、感性を豊にする為 には生活の中で物事に関心を持ったり、人の話に感動したり、味わったりという様に、心を耕す・心を磨く習慣 を身につける事です。
他人に関心を示さない人は、自分の事にも関心を寄せてもらえません。また物事に感動しない人は、相手に感 動を与えることが出来ないでしょう。自分が楽しくなければ相手を楽しませる事は出来ないでしょう。これを“ カガミの法則”と表現しますが、常に相手は自分を映す鏡であるという事を忘れないように致したいものです。
自分から明るく挨拶をすれば、明るく相手も挨拶をするでしょう。笑顔で受付応対すれば、笑顔で話しかけて 来るでしょう。自分が楽しく仕事をすれば、職場の雰囲気も明るくなり、能率も上がるでしょう。
「雰囲気」とは、人が集まると自然発生的に生まれ、例えば、受付応対の担当者の振る舞いとお客様との出会 いの「瞬間」に発生する事もあります。お客様はその一瞬のイメージで、その会社は感じが良かったとか、悪か ったと判断を下す場合もあります。これは、その場面の雰囲気の善し悪しを表現しているわけで、当然その雰囲 気を作り出している窓口担当者の人格とか人柄が、大きなウェートを占めるわけです。
そして、「人柄」や「人格」を形成する根底にあるのは「潜在意識」といわれています。自分は意識しないが 、その人の行動や考え方に影響を及ぼしている「心の働き」をいいます。仕事を通して多くの人と出会う私たち は、相手により素晴しい感動を与えよう、そして自分を理解してもらおうという意識を芽生えさせ、心の中で育 て、根づかせたいものです。
その事によって誰よりも自分が、自分自身の成長に感動を覚えるものだと思います。